川口市内で人手不足に悩む中小企業にとって、外国人材の採用は人材確保の選択肢の一つです。
特に、一定の専門性や技能を持つ外国人が働くことのできる「特定技能」制度は、介護、製造業、外食業、建設業など、人材確保が難しい業界で活用されています。
一方で、特定技能外国人を受け入れる企業には、支援体制の整備や適切な労働条件の確保など様々な義務があります。
本記事では、川口市の中小企業が特定技能制度を導入する4つのメリットと2つのデメリットについて、行政書士の視点からわかりやすく解説します。
特定技能制度とは?
「特定技能」とは、人手不足が深刻な特定の産業分野において、一定の専門性・技能をもつ外国人材を受け入れるための在留資格です。
特定技能には「特定技能1号」と「特定技能2号」の2種類があります。
特定技能1号
特定産業分野に属する相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事する活動を行う外国人が対象です。原則として技能試験と日本語試験への合格などが求められ、通算在留期間は原則5年以内です。また、受入企業には外国人に対する支援義務があります。
特定技能2号
特定産業分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する活動を行う外国人が対象です。特定技能1号よりも高い技能水準が求められ、一定の実務経験や高度な技能試験合格が必要になります。在留期間の更新回数に一律の上限がなく、一定の条件を満たせば、配偶者や子供の帯同も認められます。
川口の中小企業が特定技能を導入する4つのメリット

メリット①即戦力となる外国人材を確保できる
特定技能制度の大きなメリットは、一定の技能や知識を持つ外国人材を採用できることです。
特定技能1号では、原則として業務に必要な技能試験と日本語試験への合格が求められます。
そのため、業務に関する基礎的な知識を持つ人材を採用しやすく、未経験者を一から育成する場合と比較して、教育に必要な負担を軽減できる可能性があります。
例えば、川口市内の企業では次のような活用が考えられます。
・製造業:製造工程に関する一定の技能を持つ人材の確保
・介護施設:介護技能と日本語能力の基準を満たした人材の採用
・外食業:調理や接客などに必要な技能を持つ人材の確保
ただし、試験に合格していることが、すべての業務を入社直後から問題なく行えることを保証するものではありません。
企業独自の作業手順や安全管理については、採用後の教育が必要です。
メリット②フルタイムで直接雇用できる
特定技能1号の外国人は、原則として受入企業と直接雇用契約を結び、フルタイムで働くことができます。
留学生の資格外活動では原則として週28時間以内という就労時間の制限がありますが、特定技能にはそのような一律の時間制限はありません。
そのため企業の通常の勤務体制に組み込み、継続的な人材として活躍してもらうことができます。
例えば、川口市内の製造業や外食業などでは、次のようなメリットが考えられます。
・安定して勤務体制を構築しやすい
・人員不足による既存従業員の負担を軽減できる
・長期的な教育や技能向上を計画しやすい
なお、フルタイム雇用であっても、労働基準法などの労働関係法令は当然に適用されます。
また、農業・漁業分野では一定の条件のもとで派遣形態による受入れも認められています。
メリット③原則として企業ごとの雇用人数に一律の制限がない
特定技能制度では、原則として受入企業ごとに一律の雇用人数の上限は設けられていません。
そのため、企業の人材需要や経営状況に応じて、複数の特定技能外国人を採用することが可能です。
例えば、川口市内の製造業や外食業などで、複数名の外国人材を採用し、人手不足の解消を図ることが考えられます。
ただし、すべての分野で無制限に採用できるわけではありません。
介護分野では事業単位の受入人数の制限があり、建設分野にも受入人数に関する基準があります
また、分野全体の受入見込数や制度上の受入停止措置などにも注意が必要です。
採用人数を決定する際には、対象分野の最新の基準を確認することが重要です。
メリット④一部の分野では特定技能2号への移行により長期雇用が可能
特定技能1号の在留期間は原則として通算5年以内ですが、対象分野で必要な技能水準などの要件を満たし、特定技能2号に移行できれば、さらに長期的な就労が可能になります。
特定技能2号には、在留期間の更新回数に一律の上限がありません。
そのため、企業にとっては次のようなメリットがあります。
・経験を積んだ外国人材に長く働いてもらえる
・熟練した技能を持つ人材を確保しやすくなる
・後輩従業員の教育や現場の中心的な役割を任せやすくなる
・長期的な人員配置や事業計画を立てやすくなる
ただし、特定技能1号から2号への移行は自動的に認められるものではありません。
対象分野に該当することに加え、技能試験や実務経験など、分野ごとに定められた要件を満たす必要があります。
川口の中小企業が特定技能を導入する2つのデメリット

デメリット①支援計画の作成・実施義務とコストが発生する
特定技能1号の外国人を受け入れる企業には、外国人が日本で安心して生活し、働くための支援を行う義務があります。
受入企業は「1号特定技能外国人支援計画」を作成し、その計画に基づいて必要な支援を実施しなければなりません。
主な支援内容はつぎのとおりです。
・入国前の事前ガイダンス
・出入国時の送迎
・住居の確保や生活に必要な契約の支援
・生活オリエンテーション
・公的手続きへの同行などの支援
・日本語学習機会の提供
・相談・苦情への対応
・日本人との交流促進
・転職支援(受入企業側の事情で雇用契約を解除する場合など)
・定期的な面談と必要に応じた行政機関への通報
これらの支援を適切に実施するには、担当者の配置や支援記録の管理などが必要です。
受入企業が自社で支援を実施することも可能ですが、支援体制の要件を満たす必要があります。
自社での対応が難しい場合には、登録支援機関に支援業務を委託する方法もあります。
ただし、委託する場合には委託費用が発生します。
また、支援に必要な費用を外国人本人に直接または間接的に負担させることは認められていません。
特定技能の導入を検討する際は、採用費用だけでなく、支援に必要な人員や継続的なコストも考慮することが重要です。
デメリット②言語・報酬・転職に関する留意点がある
特定技能外国人を雇用する際には、言語、報酬、転職に関する制度上・実務上の留意点があります。
言語・コミュニケーションの問題
特定技能1号の外国人には原則として一定の日本語能力が求められますが、日本語試験に合格していても、職場での専門用語や細やかな指示を十分に理解できるとは限りません。
特に製造業や建設業などでは、安全管理に関する指示を正確に理解できることが重要です。
受入企業は、わかりやすい日本語の使用、作業マニュアルの整備、必要に応じた多言語対応などを検討する必要があります。
日本人と同等の報酬が必要
特定技能外国人の報酬額は、同じ業務に従事する日本人と同等以上でなければなりません。
外国人であることを理由に、日本人より低い報酬を設定することが認められません。
また、報酬だけでなく、労働時間や福利厚生などの待遇についても適切な取り扱いが必要です。
外国人材の採用を、単に人件費を安く抑えるための手段として考えることは適切ではありません。
転職が認められている
特定技能外国人は、一定の条件を満たせば転職することが可能です。
そのため、企業が採用や教育に費用をかけたとしても、必ずしも長期間勤務してもらえるとは限りません。
また、転職先で働くためには、原則として必要な在留資格変更許可などの手続きを経る必要があります。
企業側には、適切な賃金設定や働きやすい職場環境の整備、継続的なコミュニケーションなど、外国人材の定着に向けた取組みが求められます。
川口の中小企業が特定技能外国人を導入する際のポイント
特定技能制度は、人手不足に悩む企業にとって有効な選択肢となります。
しかし、採用前には次の点を確認することが重要です。

□ 自社の事業・予定業務が特定技能の対象分野に該当するか
□ 採用予定の外国人が必要な技能・日本語能力などの要件を満たしているか
□ 日本人と同等以上の報酬など、適切な労働条件を設定できるか
□ 特定技能1号外国人に必要な支援体制を確保できるか
□ 採用費用・支援費用を含めた継続的な雇用コストを負担できるか
特に、初めて外国人材を採用する中小企業では、在留資格の申請手続きだけでなく、採用後の支援体制まで見据えて準備することが大切です。
5.まとめ|特定技能の導入はメリットと負担を比較して判断しましょう
特定技能制度には、即戦力となる外国人材の確保、フルタイムでの雇用、複数人の採用、特定技能2号への移行による長期雇用の可能性など、多くのメリットがあります。
一方で、特定技能1号外国人への支援義務やその費用、日本人と同等以上の報酬の確保、言語面への配慮、転職への対応なども必要です。
川口市の中小企業が特定技能制度を有効に活用するためには、単に人手不足を補うだけではなく、外国人材が安心して働き続けられる環境を整えることが重要です。